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バヤンのボディには、主に銅や真鍮が使われます。 なかには、鉄粉を混ぜた素焼き(ガタムの素材)や、シーシャムウッドを使用したものもあります。
銅や真鍮製は、だいたい 1〜1.5ミリの板を使用し、総重量は約 2.5キロになります。 ティーンタールのバヤン Limited は、特注 3ミリ板を採用しているので、総重量は 約 4.5Kg。
インドの著名な演奏家は、好んで銅バヤンを使用していることから、銅タイプの方が人気です。
タブラを引き立たせるために、バヤンの歌わせ方がとても重要になり、「 バヤンを制する者はタブラを制する 」とまで言われるほど。
個人的には、私の師匠 Pt.Lacchu Maharaj や Shaik Dawood のバヤンが好きです。
聞きなれたタブラの音の後ろに聴こえてくる、重低音のバヤンサウンドに耳を澄ましてみると、 タブラの新たな魅力に気付くと思います。
バヤンとは 左 という意味です。 左手で演奏するからバヤン。
それに対してタブラは、右手で演奏することから、ダヤン( 右 )とも呼びます。
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バヤンは、一枚の板をハンマーで叩きだして形作られます。 バヤン工房にいると、耳を塞ぎたくなるような銅板を叩くが鳴り響いています。 板を叩きだして形作る作業は、見ているだけでもたいへんな作業です。 ティーンタールは通常より 2倍厚い 3ミリ銅板を採用しているので、職人の苦労も 2倍になるわけです。
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バヤンボディは 3つのパーツで作られます。 それぞれのパーツにかたどられた銅板を、カキーン!カキーン!と耳をつんざくような甲高い音を響かせながら、ハンマーで叩きだしていきます。
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バヤンの板を切る大きなハサミ。
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バヤンの底部分のパーツです。 この形を見ると、バヤンだと分かります。
ここは一枚板で制作しています。
底の窪みの部分は、専用の細長いハンマーで叩きだします。
それにしても、ハンマーで叩きだしている最中は、私の耳は 10秒と持ちません。 軽い脳震盪になったかのような感覚に陥ります。 バヤンかタブラ職人のどちらかを選べと言われたら、迷わずタブラ職人の道を選びます。
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外側からも叩いて、形をきれいに整えていきます。
親方は、バラナシ流派の伝説、 Pt.Kanthe Maharaj のバヤンも手掛けたことがあるそうです。 バラナシには、伝統的な製法のバヤン職人は少なく、探していたところ、やっとたどり着いたのがこの工房でした。
板の切り出し、叩きだし、溶接、仕上げの全工程が手仕事なので、大量生産には向きませんが、 ティーンタールのバヤンも快く制作していただいています。
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3枚のパーツを重ねたところ。 溶接してバヤンの原型ができます。
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バヤンの溶接中。
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きれいに溶接していきます。
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きれいに溶接していきます。
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溶接跡にタガネ打ちしていきます。 密着度を高めるのと、デザインとしてのアクセント効果もある。
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ティーンタール特注の銅バヤン Limited の完成。
この後、ボディにバッフィングを掛けて磨きます。
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バヤンに彫刻を施すこともあります。 ここまでくると芸術の域です。見ても良し、叩いても良し。
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バヤン職人の手。
これらの工程は、すべてこの手から生みだされている。 職人の手はかっこいい。
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